続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

悲しき熱帯Ⅰ レヴィ・ストロース

 

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

 

 

 文化人類学者である著者が南米の少数民族のもとを訪れた冒険の記録。1930年代。ヨーロッパの植民地政策の結果、少数民族たちはジャングルの奥地へ追いやられていた。しかしなお、かれらの文化は失われてはいなかった。

 フランス人は前置きが長い。長過ぎる。前後半で2冊に分かれているため、この1冊目の半分ぐらいは前置きである。すなわち、フランスからブラジルへたどり着くまでの旅程とその過程での著者の思索が書き綴られている。このインターネットの時代。情報が爆速で流れていく時代にあまりに本題が遠い。いや、ぼくが旅の過程を楽しむことができなくなってしまっているのかもしれない。

 第5部以降、ついに熱帯の少数民族の文化が描かれる。挿絵も豊富で楽しい。入れ墨や土器の文様のスケッチ、入れ墨の入った顔写真、様々な調度品。著者が肌で感じた少数民族の文化も詳細に描写されていて興味深い。ときに酒宴の様子も描かれる。そこにあるのは未熟な文明なのか。あるいは、現在まで続く西洋文明とは異なる道をたどる文明の可能性なのだろうか。ちなみに全9部構成。このⅠには第5部までが収録されている。やっと始まったと思ったら終わってしまった。Ⅱも読まざるを得ない。たった今Amazonで購入した。もともと1冊の本なので全編通して読むべきだった。今の感想はあくまでも中間地点。まずは後半を読みたい。