播磨は姫路城に居を構える越前松前藩は唐突に豊後国へ国替えを命じられる。さらに減封のお沙汰付き。藩士とその家族、ありとあらゆる調度品。すべてまとめて大引っ越し。だれもがお役を嫌がる中、本が大好き書庫番の片桐春之助(渾名はかたつむり)に引っ越し大名の白羽の矢が立つのであった。
こういう切り口もおもしろい。「国替えは諸国の力を削ぐための幕府の江戸政策」と言葉で言えば簡単だが、それが如何に大変でどう国の力を削ぐものか、歴史に疎いぼくのような人間には細かく想像することができない。この映画はそことのところを補ってくれる。しかも、コミカルで大変楽しい。
ただ、まぁ、ちょっと気になるところはある。前引っ越し大名の娘・お欄が重要人物として出てくるが、この時代に女性がこんなに全面に出てくることができるものだろうか。主要人物の片桐と鷹村は髪型が現代風である。髷は結っているが月代は無い。仮にも城務めをしている侍に許されることなのだろうか。まぁそんなことを気にしてもこの映画のおもしろさには関係ない。痛快なエンタメ引っ越し映画として楽しめばいいのだろう。