続: ぼくの一時保存

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高校生からわかる「資本論」 〜池上彰の講義の時間〜 池上彰

 

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

池上彰の講義の時間 高校生からわかる「資本論」

  • 作者:池上 彰
  • 発売日: 2009/06/26
  • メディア: 単行本
 

 

 主義とか思想とかは、なんか気に入らなくて学んだことはなかった。そんなぼくであるが、宮崎駿の言葉を理解するため、まずは資本論を学ぶことにしたのである

 

 今から150年も前にかかれた「資本論」は、驚くべきことに、現代社会を見事に紐解いている。この本はそのことを掴むきっかけとして最適だ。読解力が無くても読める文章構成はさすが池上さんというところ。そして、読解力があると自負しているあなたは、上には上がいることを知るがよいだろう。

 

 ぼくはこの本のおかげで、現代日本社会というものを20%ぐらいできたような気がする。この本を読む前は0%の理解度であったことを思えば、驚異的な伸び率ではないだろうか。

 

 資本論マルクスが書いた本だ。とはいえマルクスが書いたのは途中まで。残りはパトロンであったエンゲルスが書いたのだ。だから、この本ではマルクスが書いたところを中心に解説している。ぼくの理解では、マルクスは資本主義とその限界を示したに過ぎない。

 

 この本を読めば、資本主義の辿るべ変遷のなかでわれわれの生きる現代の位置づけがわかる。世の中の理不尽が、実は資本という人外の怪物により押しすすめられていることがわかる。そう、今の世の中は資本主義だ。「資本」という怪物。その暴走する怪物が日本社会を引っ張り、また押し上げる。

 

 僕たちはそんな教育を受ける機会に乏しい、国からしたら国民が阿呆で扱いやすいことにこしたことはない。革命のリスクが少ないからだ。そうして、搾取と格差が突き進んでいく。それでいいのだ、資本主義(怪物主義)は。そして、いまや資本主義の被膜はパッツパツだ。あと、100年、いや1000年のうちに資本主義の被膜は敗れるであろう。そのとき、僕たちはどう生きるのか。