続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

三毛猫ホームズの恋占い 赤川次郎

 

 刑事・片山はひょんなことから様々な事件に巻き込まれる。何かと気が利く飼い猫・ホームズの助けを借りて、はてして事件は解決できるのか?

 

 シリーズものだが、他は読んだことがない。暇つぶし何気なく手にとったこの巻を読んでみた。短編集なので、一つ一つの事件は短い。シンプルで読みやすい文章だ。短編なので、あまり複雑なトリックが出てこないのもよい。どちらかというと犯人の心理に重きが置かれている印象。とにかくあっさりしているので、暇つぶしにはちょうどよかった。

 

 1999年発表の作品ということで、時代背景が懐かしい。カップルが限定ペアリングを買いに殺到したり、バーゲンセールにおばちゃんが殺到したり。携帯電話はあるけど、スマホは普及していない。中学生で携帯を持っている子はまだ少なかった。気がつけばもう20年以上前のこと。「時代」と表現してしまうほどに昔のことだ。

 

 たぶん、中高生むけの作品なので当時の中高生だったおじさん・おばさんには懐かしいことだろう。今の中高生には理解できないことが多いかもしれない。その辺の感想の違いなんかがむしろきになる。

 

 あと、古い作品だが面白いところもあった。表題作は時系列を複雑に切り貼りすることでミステリとして成立するという趣向に富んだ作品である。個人的には初体験でおもしろかった。一種の発明だと思う。