続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

教育は何を評価してきたのか 本田 由紀

 

教育は何を評価してきたのか (岩波新書)

教育は何を評価してきたのか (岩波新書)

 

  日本の教育システムの変遷の歴史と、その過程に存在する思惑を読み解き、現代日本社会の問題に迫ろうとする一冊。

 少々難解で勢いに呑まれるところもあるが、知識ゼロのぼくでもある程度筆者の主張を理解することができた・・・と思う。

 細かいことは正直よくわからないが、なんとなく自分が感じている生き辛さの理由がわかったような気がする。筆者がいうところの社会の「垂直的序列化」「水平的画一化」は確かに日本社会のなかにあるように思う。理想の答えを用意されそれに近づくことだけが求められ、それ以外の答えは間違いだと排除する。日本の世の中はそんな風になっているのだ。

 また、教育を通して子供のうちにこれらがわれわれの意識に刷り込まれているとも思う。学校では答えとそれにたどり着く経路の正解が用意されていた。決まった道を歩んでみんなと同じゴールを目指す。近道や遠回り、自分なりのゴールを目指すことは間違いだと教え込まれたように思う。

 これまでは「日本人はそういうものだ」と思っていた。しかしこの本の考え方によれば、この日本の空気は教育によって作り出されたものだ。そしてその教育は時代時代の政府が造り出したもので、決して素晴らしいプロセスを経てできたものでもない。この息苦しさが造られ与えられたものだと感じられただけでも、ぼくにとってはいいことだ。ぼくが生き辛いのは、ぼくが悪いわけばかりでもないのだ。