コミュニケーションはいらない 押井守
映画監督、押井守が世の中を斬る一冊。
この人も学生運動とかの時代の人らしく、思想や哲学といったものに敏感だ。それらを失い「繰り返す日常」にはまってしまった日本の国や国民性を嘆いている。
著者の思想の内容はこの本はどうあれ問題提起としてはいいのかもしれない。今の世の中、正面から物事に向かい合うと言うこと自体がなんとなく避けれがちである。それはなにかそのことに怖さを感じるからかもしれない。でも、著者はちゃんと向き合って議論を重ねるべきだと語る。確かにそうなのだろう。欧米の国の強さは、現実に向き合った議論を重ねてきた実直さにあるように思われる。
他方、この本には著者の仕事論も書いてある。誰にでも真似できることではないと思うが、映画監督とかを目指す人は読んでみるといいかもしれない。