続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

風の谷のナウシカ

 

風の谷のナウシカ [Blu-ray]

風の谷のナウシカ [Blu-ray]

  • 発売日: 2010/07/14
  • メディア: エレクトロニクス
 

 

 人類文明が頂点を極め、そして滅びた後の世界。世界は腐海と呼ばれる菌類の森に覆われ、蟲達がうごめく。人類は過去の遺物を頼りにほそぼそと生き残っていた。風の谷の姫・ナウシカはすべての生命を愛し、好奇心旺盛に生きていた。ささやかな生活を送る風の谷にある日軍事国家トルメキアの戦艦が堕ちる。安息は打ち破られたのであった。

 

 テレビでは何度も観たことがある作品。今回は映画館で観ることができた。ぼくが生まれた頃にはすでに公開が終了していた作品を。まさか映画館でみることができるとは。

 

 なんだかんだいっても宮崎駿監督の名を不動のものにした名作。そして、映画でみると迫ってくるものが違う。登場人物の一挙手一投足。微妙な動きにも感じ入るものがある。特にナウシカが腕を広げ銃撃を止めるシーン。迫ってくるナウシカの迫力はテレビ画面とは全然違う。思いがけず涙が出そうになった。

 

 映画監督・宮崎駿としては最初の作品であるが、この頃から監督の描きたいものはずっと変わりがないようだ。つまり「この理不尽な世界で精一杯生きろ。精一杯生きていいんだ」ということが監督のメッセージなのだろう。過去の人類が犯した罪に覆われ、人々の苦しみのが戦争を生む。ナウシカはその世界のなかでも、人々を愛し、蟲を愛し、腐海の謎を解き明かし、ただただ精一杯に生きている。現実世界はナウシカ世界ほどでは無いが理不尽に満ち溢れ、人々から苦しみは消えない。それでも、人間は精一杯生きていくしか無いし、それ以外に人は生きるすべがない。めちゃくちゃストイックである意味矛盾した優しやのある世界観。たぶんこれが宮崎監督の世界観なのだろう。

 

 こういった大人向けの世界観を持ちつつも、映画そのものはエンターテイメントとして完成している。ぼくがそうだったように、この映画は小学生が観ても熱中できる面白さがある。これまた一見矛盾する要素を見事に織り合わせて映画を作るところが宮崎監督の凄さなんだろう。