続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

365日のシンプルライフ

 

365日のシンプルライフ(字幕版)

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  • 発売日: 2014/08/27
  • メディア: Prime Video
 

 

「なぜ不幸なのかを考えるところが必要だ」(ペトリ)

 

 彼女に振られた主人公・ペトリは一念発起。モノに囲まれた自分の人生を見直し、幸せとはなにかを考え直すため実験を開始する。実験のルールは4つ。

 

1.自分の持ちモノを全て倉庫に預ける
2.1日に1個だけ倉庫から持ってくる
3.1年間、続ける
4.1年間。何も買わない

 

ヒトとモノの在り方を考える実験が始まる。ちなみにコレ、ドキュメンタリーであり監督のペトリ自身が実際に行った実験の映像なのだ。

 

 ドキュメンタリー映画というのは大体監督のドギツイ主義・主張で彩られていて苦手なのだが、本作は個人的には好印象。強い主張を展開する映画ではないからだろう。「生活を見直してみましょう。そのためにバカな実験をしてみました」というスタンスだからであろう。それこそ映画冒頭は全裸のペトリが雪の積もった夜中にコートを取りに倉庫へ走る。第1日目の夜で始まる。まったくもってバカである。ところで、この際にペトリはゴミ箱から拾った新聞で自分の前と後ろを隠すのだが、日本人の感覚的には後ろを隠す必要はないように思う。と、どうでもいい文化の違いを感じた。

 

 意外にもドタバタ劇は序盤で終わり、ペトリの生活は安定してくる。少なくともペトリにとって、生活に必要なモノは50−60個程度であったらしい。エンディングでは「生活に必要なモノは100個」とも言っている。服とかは1枚1個と数えているようなのでこれは現代人にとっては驚くべきことではないだろうか。

 

 経済的な発展の中で、僕たちはモノの多さを豊かさだと思いこんできたところがある。しかし、その一方でモノに踊らされているのも事実だ。改めて家の中を見れば、何年も触った覚えがないものがご丁寧においてあったりする。

 

 自分が必要なモノを、自分の納得できる形で持つ。そんな一見当たり前のことが、案外僕たちはできていないのかもしれない。そして、それは案外幸せとは違うことなのかもしれない。映画のようにはいかないが、時には自分の持ち物を見直す時間が持てたらいいなと思った。