続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

西の魔女が死んだ 梨木香歩

西の魔女が死んだ (新潮文庫)

西の魔女が死んだ (新潮文庫)



『そうよ、あの人は本物の魔女よ』(ママ)

喘息持ちで内気な主人公まいは、学校を嫌がり田舎のおばあちゃんのところで過ごすことになる。おばあちゃんは西の魔女と呼ばれ人知をほんの少しだけ超越した存在であった。

魔女とはなんだろうか。この本の答えは生きる力に富む人間、であった。

魔女であるおばあちゃんは、野いちごから美味しいジャムを作り、布巾をキレイに選択し、健康的な生活を送る。

人々を恐怖に陥れる魔女の姿はそこにはない。ただ、人より『豊かに生きる』ことに長けていただけなのだ。それは血統でもあり、個人の才能でもあるのだろう。

主人公まいは魔女と過ごすうちに『豊かな暮らし』を学んでいく。それはごくありふれた生活のなかに潜むものなのだ。僕らにもまるで自分のことのように感じられる。

幸せは心の内にある。呪いは人の心を蝕んでいく。心を、精神を鍛えることが幸福への近道だ。向上心を忘れてはいけない。