続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

激動の昭和史 軍閥

 

 

 昭和の時代。太平洋戦争へ突入していく日本を描く映画。実際の映像を交え当時の空気をリアルに再現する。

 

 こんな映画があったんだ、という印象。1970年公開の作品で、戦争や国のあり方、非常時におけるメディアの存在意義を中心に、非常に批判的な目線を貫いて制作されている。

 

 戦争は忘れられつつある。ぼくも戦争のことはよく知らない。今の小中学生にはもはや戦争をリアルなものとして捉えるのは難しいのではないだろうか。だからこそ、今こそこんな映画が必要なのではないかと思う。日本のいう国に、国民のなかに、当時と同じ性質はいまもあると思う。その性質は決して悪いものではないが、悪いものになってしまうことがある。そのことを自覚しなければ、いつまた同じ轍を踏むかわからない。

 

 個人的には、サイパンのジャングルの洞窟で、敵軍が迫る中泣き止まない赤ちゃんをどうにかしろと軍人が母親に詰め寄るシーンが鮮烈に印象に残った。追い詰められた母親は無我夢中で赤子を絞め殺してしまう。映画はもちろん偽物だが、本物の狂気がそこにあるように感じられた。戦争とは、こういうことなのだ。

 

 すべての日本人に見てほしい映画。