続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

日本のいちばん長い日 岡本喜八

 

日本のいちばん長い日

日本のいちばん長い日

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

  第二次世界大戦はすでに終盤。劣勢の日本にポツダム宣言が突きつけられる。時の政府は混乱するも、原爆によるダメ押しと昭和天皇の御聖断によりついには宣言を受諾することを決める。しかし陸軍内には大きな抵抗があり、一部の青年将校達はクーデターを起こす。様々な思惑が入り交じる中、玉音放送までの長い一日が描かれる。

 

 長い。2時間半の大作映画。しかし怒涛の勢いで目まぐるしく物語は進み、かつ張り詰めた緊張感のためにあまり長くは感じない。白黒映画で影が強調されることもこの緊張感に拍車をかける。この緊張感が、ある意味異様な戦時下の大日本帝国の雰囲気とあいまって独特の空気を生み出している。

 

 ぼくは戦争を知らない世代だ。もう日本人のほとんどはそうなんだろう。ポツダム宣言とか終戦は教科書に載っていた言葉として知っている程度だ。そこにあったドラマのことなどわからなかったが、この映画を観て歴史というものは言葉ではなくドラマを含めて学ぶ必要があると感じた。

 

 登場人物は基本的にみんな国のために行動する愛国者だ。ただ、根本は一緒でも向かう方向が人によって違う。あと、クーデターをおこした青年将校などは、道を踏み誤ったことに気づきながらも後に引くことができなかったようにも見える(別に当時の陸軍とか青年将校の肩を持つわけではない)。みんな目指すところは同じでも、立場や考え方の違いでものごとは複雑になってしまうのだ。たった一日の物語の中に人間社会というものを見た気がする。

 

 映画としても複雑さのある群像劇で個人的にはおもしろかった。あと作品全体を包む緊張感にはやはり主要な俳優陣の迫真の演技が大きいのだろう。世界の三船はこんな演技もしていたのかと驚いた。7人の侍の印象が強いので、基本チャンバラの人だと思っていたので。

 

 個人的には、なんとなく戦争というものを意識する今日このごろ。戦争の歴史を学ぶという意味で非常にいい映画だった。そして改めて戦争などすべきでないと思う。本当に、平和な世の中が続いてほしいと思うのだ。