よしもとばななさんのエッセイ。1999−2005年にかけて、沖縄旅行の記録と日々の想いが綴られる。
エッセイというよりかは日記に近い。読者というよりは自分自身に向けて書いたような本。そんなプライベートを切り売りできるというのが作家の凄さというところだろうか。ただ、正直登場人物が全然わからないし、読み手としてはなんだかモヤモヤする。まあよしもとばななファンであればわかるのかもしれない。
全体的に女性らしさ、いや女の子らしさが溢れる文章で、男の僕にはどうもついていけないところがあった。男女の違いというものを精神面で改めて感じた。とはいえ、それが良いとか悪いとかいうつもりはない。それを楽しむことが大事なように思う。
冒頭、1999年の東京の騒がしさについて触れている。そういえばこの年はノストラダムスの大予言とか、2000年問題とかで世の中が根拠のない不安感に包まれていた。マスコミまでその不安感を散々煽って。結局、年が明けてみれば大したことは何もなかった。隕石が落ちてくる事もなかったし、世界中のコンピューターが誤作動することもなかった。なんとなく、今のコロナ騒ぎにも似たようなものを感じる。もちろん性質は全く違う問題なのだが、日本人の悪い国民性とでもいうものが顕になっているのではないだろうか。
世紀末の喧騒を著者は沖縄の空気で乗り越えた。今また同じようなものが必要とされているのかもしれない。