続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

いつか春の日のどっかの街へ 大槻ケンヂ

「ああ、大切なものか。大切だと思っていたものは、子供の頃にたくさんあったけれどね。大人になるにつれて、だんだんそれが数を少なくしていく。で、気づくと、実はあまりなかったんだと思うくらいになっている。なんかの映画のセリフさ」(妄想の中の大槻ケンヂ)

大槻ケンヂのエッセイのような小説、ということで虚実入り乱れてのほほんとしたお話が続く。40代になっていまさらギターの魅力にとりつかれた著者。やってみるもので、弾き語りのライブまでやってしまう。ギターを始めたことで様々な変化も起きる。人生、いくつになってもチャレンジは出来るものなのだ。

個人的にお気に入りのエピソードは、友人に、彼女の妹の赤ちゃんのために歌を作って欲しいと頼まれる話。

「君が今までたくさん作ってきた死んでいく歌の真逆、生まれてこれから生きていく人のための歌を」(友人)

この頃、身の周りで訃報が相次いが大槻ケンヂにとってこの言葉は大きな影響があったのではないだろうか。
ちょっと不覚にも泣きそうになってしまった。