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続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

まあだだよ 黒澤明

 

まあだだよ

まあだだよ

 

 「往く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず」(方丈記鴨長明

 

先生は、いい加減なところもあるが教え子たちに慕われる恩師である。退職した先生のため、教え子たちは「まあだかい」という会を立ち上げる。月日は流れ、戦争を乗りこえ、先生と教え子たちの交流は続く。教え子たちに「金無垢」と称される先生の半生を世界のクロサワが脅威の感覚で描く。

 

この映画凄まじい。30代~以降の日本人は凄まじいものを感じるのではないだろうか。

映画で初めて泣きそうになった。この境地(?)に立った映画監督は未だ存在しないのではないだろうか。とにかく凄まじい領域に黒澤監督は達している。

 

人の愛情というものをクリティカルに描いた作品であるとぼくは感じた。また、この時代の日本人のアイデンティティというべきものを見事に表した作品であると思う。教師の学生に対する愛情、学生の教師に対する愛情をにじみ出ている。描かれるのは、実に平凡な日常の場面であるにもかかわらずだ。

 

黒澤明監督のプロット、演出のうまさ。役者さんたちの自然な演技に驚嘆した。所ジョージ寺尾聰など、いまでこそ大御所の面々が出て来るところもおもしろい。黒澤監督の眼力恐るべしという感じであろうか。