近未来。地球の人口は激減し、一方でテクノロジーの進歩によりエネルギー問題は解決した。世界に点在する都市を主人公・ミチルは旅する。今回は外部との接触を長年たってきたイル・サン・ジャックになぜかミチルの取材が許可される。周囲の森が一夜にして消え海が現れたという都市。君臨する女王。そして突如現れる首無し死体。一体この国になにがおきているのだろうか。
というわけで100年シリーズ2作目。今回も特殊な国というか街をミチルと相棒・ロイディが訪れる。幻想的な雰囲気とウィットの効いた会話はさすが森博嗣といったところ。
このシリーズの軸は人間と人形(ウォーカロン)なのだろう。技術の進歩により人間に近づいていくウォーカロン。一方で、人間もウォーカロンの技術により変化というか進化を遂げつつある。本作にはそのなかの特異点ともいうべき出来事がおこる。そして、この世界はWシリーズへとつながっていく。
前作を読んだ時点では今ひとつピンとこなかった面白さがこの一冊でやっとわかった。三部作なのでもう一冊ある。次はどういう主題が描かれるのか。近い内に読んでみたい。