幸田露伴の説く幸福論。人間観察のなかから、人が幸せに生きていくためにどうすべきか。達人露伴が論じる。
前半はおもしろかった。後半はどうも冗長で、文章の切れ味が悪く読むに耐えなかった。親戚のおっさんの愚痴を聞いているような感じ。申し訳ないが後半100ページは読むのを諦めた。
前半、特に「福」についての解釈はおもしろいしためになる。この掃き溜めのような人間社会の中で生きていく指針になりうる論理である。
著者は人と福との関係性を「有福」「惜福」「分福」「植福」とした。人は幸福を得たならば、それを惜しみ無駄にしてはいけない。その一方でまた他人に福を分け与えることも重要である。そして、自分にとって、他人にとって福となる種を植え育てていく必要がある。これらを成すことができたなら、人は幸せに生きていけるだろう。同時にその人の周囲をも幸せにしていける。幸福に生きるために幸福への向き合い方をしっかりと確立することはとても大切なことなのだ。
後半はいまのぼくには冗長で読めない。でも、この本は手元においておこう。また将来、ぼくがこの本を再読することを期待して。