続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ヒキコモリ漂流記 山田ルイ53世

 

ヒキコモリ漂流記  完全版 (角川文庫)
 

 

娘が生まれたことで「人生が余った」という感覚は完全になくなった。(著者)

 

「ルネッサ〜ンス」でお馴染みだったのはもう一昔前か。お笑いコンビ・髭男爵のツッコミ山田ルイ53世の半生を描くエッセイ。

 

うーん。芸人たるも生半可な人生を送ってはいまいと思っていたが、この人なかなかの猛者である。タイトル通り引きこもって居ることもあるが、引きこもる過程やそこからの社会復帰も含めて、多分この本には載ってないような出来事も山ほどあるのだろう。

 

ただ、どうも僕は共感できるところが多い。著者が子供の頃に感じていた「神童感」は僕も感じていた。僕は変な話(勉強が)できる奴だった。でもそれは世の中では邪魔なだけだ。僕は引きこもったりしてはいないが、それでも親との間に普通ではない距離感ができてしまった。死にてえな、ぐらいのことは思うが、それでも人間も生き物、本能があって生きている。

 

つまるところ、自己肯定感が足りない。生きていても仕方がない。そう思っている。それでも生きていくのだ。生物の本能に突き動かされて。そんな矛盾を、芸人らしい笑いを交えて実にうまいこと文章にした一冊だと思う。人生に良いも悪いもないのかもしれない。ただ死ぬまで一瞬一瞬を生きていくだけなのだ。