続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

恋文の技術 森見登美彦

恋文の技術 (ポプラ文庫)

恋文の技術 (ポプラ文庫)



「別に意味はないのだ。教訓を求めるな」(守田一郎)

教授の手により能登半島の辺鄙な研究所でクラゲをすり潰す日々を起くる守田くん。彼は一念発起し、様々な人との文通を通して「恋文の技術」確立せんと奔走する。

全て手紙のやり取り(しかも守田くんからのみ)で構成された小説。こんなに厳しい条件でも、森見さんは見事に、おもしろおかしく人間関係を描き出している。

メールも電話もなかった頃、人々は手紙で心を通わせたのだろう。またその中でも言葉の使い方やその力を習得していったのだろう。本作の人間関係は不思議だ。ノスタルジックで、それでいて現代風。独特の世界が広がっている。

普段手紙など書かないが、ちょっと書いてみたい気持ちになる。そんな一冊だった。