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続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

変態仮面 アブノーマル・クライシス 福田雄一

シアター

『もう!なんなのよ、男って!』(愛子ちゃん

まさかの変態仮面映画の続編。たぶん監督も2作目があると思っていなかっただろう。

前作の、そして原作のテイストはそのままに、本作はガンガンにハリウッド映画スパイダーマンの2をパロディしていく。大丈夫かと心配になるほどのパロディっぷり。前作より予算もあるようでCGなど(しょぼいけど)も盛りだくさん。

個人的にはすごくツボ。映画ってこれでいいんだよ。深いストーリーやメッセージはトップクラスの一部の作品が担えばいい。作り手も、観客ももっと映画そのものを楽しむべきだ。

この一作は多くの人間が楽しんだ作品だろう。女性はあまり気がすすまないかもしれない。でも、楽しめると僕は思う(デート中でなければ)(デートでは観ねえよ!)。

幽霊塔 江戸川乱歩

幽霊塔

幽霊塔

この世の中に、私ほど奇妙な、恐ろしい経験談を持っているものはあるまい(北川光雄)

江戸川乱歩の冒険小説。財宝とが眠ると噂される怪しい幽霊塔。時計塔には果たしてどんなカラクリが眠っているのか。謎を秘めた女、秋子は何者なのか。謎が謎を呼びまくる。強い意志をもつ主人公光雄は秋子に惹かれ、謎だらけの館に挑むことになるのであった。

江戸川乱歩らしいどろどろした雰囲気は残しつつ、子供にも楽しめる冒険譚。むしろ子供向け小説なので、小学生〜中学生のころに読みたかった。今よりもっとのめり込んで読めただろう。

なんといってもこの一冊には、宮崎駿監督が自身の思い出を漫画にしたものがついている。ルパン3世カリオストロの城の種はこの小説だったらしい。宮崎駿なりの小説の解釈や、映画づくりの姿勢が垣間見得て面白い。またこの幽霊塔はイギリスの小説が原作であるようだ。この辺りを通して宮崎駿なりの価値観も漫画の中に示されている。短い漫画だが本編に負けず劣らずの価値がある。

さよなら私 みうらじゅん

いろいろあるのが人生。
一生わからないのが自分。
これを肝に銘じてください。(著者)

みうらじゅんのエッセイ集。

くだらない話から人生について、あるいはそれらが融合した独特の思想まで、さらりと読みやすい文体で語る。1タイトル2ページというお手軽さ。なんだか悩みとか、頭の中に引っかかっていたものがスッと落ちる。そんな感じの一冊。なんだか余裕がない人はちょっと本書を開いてみてはいかがだろう。

花物語 西尾維新

花物語 (講談社BOX)

花物語 (講談社BOX)

「まぁ若造でも老人でも、人生に悩みは尽きないが、しかしおいしい肉を食えばそんな悩みは全て解決するのさ」(貝木泥舟)

物語シリーズ第8弾。神原駿河の前に現れたかつてのライバル・沼地蝋花。人の不幸話を集める彼女の目的は一体?

サイドストーリー的な一巻。主人公・阿良々木暦は物語にほとんど関係しない。故に語り部は神原駿河にバトンタッチ。面白いのは語り部が変わったことで作品の雰囲気がガラッと変わることだ。人一倍「悩み」に苦しむ神原の1人語りは、太宰治人間失格のような純文学っぽい雰囲気を醸し出している。青春という作品全体のテーマとも相まって、独特の空気を生み出している。

個人的には、ライトノベル特有の(?)妙な軽さが抑えられていて非常に読みやすかった。フツーの小説に近い感じだろうか。

沼地蝋花の悲しさは、なんだか非常に共感できた。現実をよく知っているものこそ、夢や希望を下手に持てず苦しむ。自分が底なし沼に落ちたなら、脱出よりも道連れを探すことの方が面白いのかもしれない。ラストシーン、ふっと消え去った蝋花は一体どうなってしまったのだろうか。

School of rock

シアター

難しいことは言わないし、言いたくない。
この映画はロックである。それで十分だろう。

ロックン・ロールに溢れる映画。
ロックを愛するものにも、ロックを軽蔑するものも見て欲しい。どう感じたって、ロックの神様は許してくれるのだから。

鬼物語 西尾維新

本棚

鬼物語 (講談社BOX)

鬼物語 (講談社BOX)


あいつのことを思い出しながら話そう(阿良々木暦)

物語シリーズ第11弾。刊行順は完全に無視して読んでみている。そんなわけで、細かいネタや一部登場人物などはいまひとつ把握できていない。

軽妙な掛け合いや、テンポのいい長台詞は読んでいて楽しい。ストーリーも斜め上を行く感じでまぁまか楽しめた。このシリーズはとにかく「軽い」のが売りなんだろうか。力を抜いて、ただただ楽しむことができる。30分の電車移動なんかの時に読みたい本だ。

ミッドナイト・イン・パリ  ウディ・アレン

 

 「現代」って不安なもんなんだ。それが人生だから。(ギル)

 

主人公ギルは売れっ子脚本家。でも、夢を目指して小説を書く。婚約者とのパリ旅行中も、彼は小説を書き続ける。そんな彼はひょんなことから「黄金時代」と呼ばれたパリへタイムスリップする。ヘミングウェイやダリといったもはや伝説の人々と出会う日々。美女アドリアナとの出会い。一方で、婚約者との関係は悪化していく。果たしてギルの決断やいかに。

 

ゴッホ大好きなぼくとしてはパッケージで無視できない作品。そして中身も中の上ぐらいの高評価。観てよかったと感じる一作だった。

 

シェイクスピアピカソ、ダリ、ゴーギャン、ダリといった個人的に大好きな人物が生き生きと主人公の前に現れる。作品を通じて彼らを知るのもよいが、一人物として描かれる彼らを観るのもいいいものだ(どちらも受けての創造の産物であることに違いはないが)。

 

作中には多くのテーマが含まれるが、1つの大きなテーマは「懐古主義」だ。昔はよかった、という気持ちはいつの時代にも存在するのだ。その安心感。その意味。それを改めて考える良いきっかけっとなる映画ではないだろうか。主人公ギルの答えは冒頭の引用文だと僕は思う。一方で、この作品には別の答えもあるのだが。

 

人生に対するするどい含蓄を含む言葉が端々に現れる。繰り返しっ観る必要のある映画だと思った。時代が変われば、そこに含まれるメッセージもまた変質する。そういう普遍性がある映画のように感じた。

 

ただ、最後に一つだけ言いたい。ゴッホ出ねぇじゃねーか。ゴーギャン出てくるのに。まぁ人格的に出せないだろうけどさ。