続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

劇画ヒットラー 水木しげる

劇画ヒットラー (ちくま文庫)

劇画ヒットラー (ちくま文庫)

「どうしてあなたは、あのいまわしいヒットラーを殺さなかったのですか?」(CIAの職員)
「どうしてって…彼は私の親友だったからです」(クビツェック)
「そうですか……」(CIAの職員)

帯にあるように大変読みやすい。ヒットラー入門書という表現は的を得ていると思う。水木しげるの新たな一面をみた感じ。

登場人物のほとんどが、人間というよりも妖怪じみた顔つきをしているのが印象的だった。妖怪漫画の巨匠が描いたのだから当然かもしれないが、戦争に突き進んでいく人間の狂気のようなものがうまく現れているのではないだろうか。

今はなにかヒトラー映画を見たい気分だ。同じ映画でも、この本を読む前後ではきっと見えるものが違うだろう。

ゴッホ 最後の手紙

 

 

己の魂をキャンパスに描いた稀代の画家ゴッホ。彼の人生は苦難に満ちていた。そんな彼の自殺後、弟テオに当てた手紙が見つかった。ゴッホの友人ジョゼフ・ルーランは息子アルマン・ルーランにこの手紙を届けさせるのであった。アルマンの捜索を通して、ゴッホの死の前後が垣間見えてくる。謎に包まれたゴッホの自殺。その真相は如何に。

 

なによりこの作品の特徴はゴッホの油絵がそのままのタッチで動くという他に類を見ない映像である。100人を超える画家が作画に関わったとのことで、おそらく手書きなんだろうが一体どうやって作っているのか。常にというわけではないが、背景もうねうねと動き続ける。名画の数々も登場する。ジャパニメーションPixarの3Dともちがう不思議な映像だ。不思議な映像のなかを俳優たちは時に浮き上がるように、ときに溶け込むように動き回る。万人うけするものではないかと思うが、一見の価値ありである。

 

作中ゴッホは死後のため、その姿は常に他の登場人物の口で語られる。なにを真実と考えるのは観た人が決めればいいのだろう。彼の死には謎がおおいが、そこに結論を出す必要はないと思う。

 

ちなみに原題は「Lovely Vincent」である。ぼくは邦題よりこっちのほうが好きかな。

地獄の季節 ランボオ

地獄の季節 (岩波文庫)

地獄の季節 (岩波文庫)

詩を解するような豊かな心の持ち主では無いのだが、タイトルに惹かれて読んでみた。しかし、まぁ言い回しが難解でさっぱりわからない。連日風呂に入りながら繰り返し読んでみたが結局100分の1もかみ砕けていないと思う。

それでも、そこはかとなく感じるのはランボオが高い理想を持つ人物であったろうということだ。この詩集には、理想を抱き、現実に苦しむ若者の心が現れているように思う。それは、きっと普遍的な心にで、多くの若者の心にブスブスと燻っているのだ。

メッセージ

ある日地球の12か所にナゾの物体が飛来した。人類はこの未確認飛行物体の調査にあたり、各国のチームが結成される。そして、その中に生命体と思しき存在を認め、コンタクトを開始する。果たして彼らは敵か味方か、そして目的はなんなのか。

どこかでネタバレを見てしまったのが残念。まあうろ覚えだったのでそれなりの感動はあったのだけど。

言語とはなんなのか、ということを考えさせてくれる良作。特に日本人にとってこの感覚は失われつつある。SFとしてもハイクオリティ。観て損はないと思った。

火花 又吉直樹

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

漫才コンビ・ピースの又吉が芥川賞を受賞したことで話題になった一冊。
現役の売れっ子芸人が、芸人の世界をありありと描く。とくに売れない若手芸人に焦点をあて、彼らの焦り、苦悩、喜びなど様々な感情が描かれる。

ある程度虚実入り乱れる物語なのか、全くの創造なのかはわからないが、確かにこれほど若手芸人として生きることを描いた小説はないと思う。テレビに出てくるのはその激しい世界の氷山の一角にすぎない。

競争の激しい世界である。世間に深く関わる仕事である。お笑い芸人は、アスリートが日々のトレーニングを積むように、笑いのセンスを磨くのだろう。いろんな奴がいて、天才肌の不器用な奴もいれば、世の中に合わせることで売れていくものもいる。ネタとは違うところに価値を見出されて売れるやつもいる。表現することを求められる世界では、常につきまとうジレンマなのだろう。やりたい事と求められることは。この辺に普遍的な価値観につながるところがあって、共感を呼ぶ作品だと思う。

マジック

マジック [DVD]

マジック [DVD]

アンソニー・ホプキンスの怪演が光るサイコ・ホラー映画。

売れないマジシャン「コーキー」は腹話術人形のファッツを相方にする事で才能を開花。軽妙なトークとマジックで、一躍注目を集めるのだった。しかし、一方でコーキーの中でファッツに自我が芽生えて行く。次第に存在は大きくなり…

登場人物も最小限。ほとんどスポットはコーキーとファッツに当ててお話は進行して行く。次第に狂って行くコーキー。一方で生き生きと動きを増すファッツ。アンソニー・ホプキンスの悩める狂人の演技が素晴らしい。これ、ファッツの動きもホプキンスがやってるんだろうか。もしそうだとしたら凄いが、流石に全部ではないのかな。

CGなどは一切なくとも、単純に演技だけでホラーを表現する。古き良きいい映画だと思った。

バーフバリ 伝説誕生

巷で続編が話題となっているインド映画の第1作。話題の続編は映画館に見にいきたいのだけれど、田舎なので県内では上映されてなかった。

全体の印象としてはストーリーよりも画を重視した作品だということ。アクションシーンはーもちろん、大物の一挙手一投足には迫力ある演出がなされる。色使いや、スロー、クイックも効果的に使われる。カメラワークや台詞も、とにかくそのワンシーンをカッコよく決めるためだ。

そんなわけで細かいところには突っ込みどころがあるのだけれど、迫力で押し切られる。この手に映画は半端になると薄っぺらい感じになるが、徹底的にやると神話的になって面白くなる。細かな矛盾は神話の域に入れば気にならない。バーフバリもそういう映画である。

画重視の映画なので小さなテレビより、映画館で見た方が楽しいだろう。なんとか続編を映画館で観れたらいいのだが。