- 作者: ジーナ・マッキンタイヤー,スティーブン・スピルバーグ(序文),アーネスト・クライン(前書)
- 出版社/メーカー: スペースシャワーネットワーク
- 発売日: 2018/03/30
- メディア: 単行本
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時は2040年頃。現実世界は究極のバーチャルリアリティゲーム「オアシス」の取って代わられてた。そこではほとんどすべての夢がかなう。食事とトイレと睡眠以外はなんでもできる。誰にでもなれるし、どんな無茶もできる。気がつけば辛い現実に愛想を尽かし、人々はオアシスの虜となっていた。
そんな中、オアシスの開発者ハリデーが亡くなる。最後のメッセージで、彼はオアシスの中にイースターエッグ(隠しアイテム)を残し、これを3つ揃えたものに莫大な遺産と、オアシスの管理権限を与えると伝えるのであった。かくして、現実世界をも巻き込んだ一大ゲームイベントが幕を開けるのでった・・・。
「ゲームの世界」という設定を最大限利用して、スピルバーグ監督がやりたい放題の映像を作る!
様々な作品から、アバターやゲームギミックとしてキャラクター達が登場する。冒頭からT-Rex、キングコングが大暴れし、その中をバック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンに乗った主人公が駆け抜ける。街中にはどこかであったキャラクターがそこかしこにあらわれる。バトルシーンでもこれらのキャラが盛大に活躍する。まさかハリウッド映画でガンダムvsメカゴジラが見れるとは思わなかった。
映像面では絶妙なCGの使い方がおもしろい。「ゲームの世界」の雰囲気をだすため、わざとちょっと画質を落とした感じの、以下にも「ゲーム」というクオリティでキャラクター達は造形されている。実にうまいというか、CG技術はとうとうそんなレベルに達したのかと驚いた。
30-40代ぐらいのおっさん。特に、ファミコンを夢中で遊び、金曜ロードショウを毎週楽しみにしていたようなかつてのギーグっ子はぜひ観て欲しい。この楽しさはぼくらに突き刺さるのだ。
追記(2018-04-21)
イースター・エッグを一つのキーワードとする作品なので、マニアックなイースター・エッグが隠されていそう。スピルバーグ監督だし。むしろパッとわかるようなものはそれを隠すフェイクなんだろう。何が隠れているんだろうか。すごく気になる。
追記2(2018-04-21)
よく考えたらこの映画はめちゃくちゃロックである。
作中世界では現実(リアル)はバーチャルである「オアシス」に負けていた。バーチャルがリアルを支配する世界であった。しかし、物語終盤、ある人物が語る。「現実こそがたった一つのリアルなんだ。現実は辛く苦しいことばかりじゃない。現実でしかうまいメシは食えないんだ」と。現実に生きる大衆にも、空想に生きるギーグにもケンカを売った。
「どっちか」ではない「どっちも」人生には必要だし、無視できないのだ。スピルバーグ監督の意図はその辺ではなかろうか。「彼岸と此岸」は全ての創作の根っこにあるテーマである。この作品はそのテーマをえげつないまでに掘り返したといるのではないだろうか。