続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

グレイテスト・ショーマン

 

19世紀アメリカ。 幼い頃から空想好きだったバーナムは、相手の親の反対を押し切り資産家の娘と結婚する。貧しくも幸せな家庭を築き、2人の娘にも恵まれる。しかし、あるとき務めていた会社が倒産する。妻のため、娘のため、バーナムは奇人を集めたショービジネスを行う。賛否両論有るがショーは一定の成功をおさめ、いつしかサーカス(馬鹿騒ぎ)と呼ばれるようになるが・・・。

 

うーん。薄い。映画は限られた時間に内容を盛り込むので、詰め込むほどに味が薄くなる。この映画はその典型だろう。当然、全体に展開も早すぎる。

 

ミュージカルのいいところは歌とダンスの力によって多少強引に、かつ観る人に自由な解釈を与えながらストーリーを進行できるところだが、いくらなんでも強引過ぎる。冒頭の青年バーナムが将来の妻と仲良くなるシーンなんて意味不明だし、中身もない。とても登場人物の心が動いたシーンにはみえない。

 

ミュージカル映画なのに歌と踊りがストーリーに馴染んでいないのも気になる。ミュージカルたるものストーリーの進行に歌と踊りが組み合わせられていくものだろう。歌と踊りをやっておいて、ストーリーはまた別で進行するシーンがおおい。これならストーリー部分だけでも映画になるんじゃないのか?歌と踊りの中で、ストーリーも進行していくところがミュージカルの楽しさだろう。

 

登場人物もキャラが薄い。伝記映画としての側面があるからかもしれないが、まずバーナムのことがよくわからない。なぜショービジネスに手を出したのかもわからない。金と名声のためならなんでもやるキャラを出しておきながら、後半で初心を思い出したかのようなシーンでは妻と娘の写真を見つめていた。お前そんなキャラじゃなかっただろう。ほとんどペテン師だったじゃないか。ペテン師の主人公に感情移入できないのも観客としては辛い。

 

サーカスの団員も薄味だ。この映画で最も見せ場になると思われる「異端の人間の心の闇」と「心の闇の開放」はあっさり流された。結局彼らの大半は名前もわからず、その異端っぷりもよくわからない。彼らの迫害の歴史を真正面から描いてこそ、この映画は価値あるものになったはずなのに。広告ばらまいたらあっさり集まったメンバーという感じで終わらせてしまった。実にもったいない。「仲間」は「集まるまで」が最高に盛り上がるし、その後のストーリーを引き立てるのだ。そこのとこが雑すぎる。

 

コレで全てではないが、批判ばっかりしても仕方がない。箇条書きで良かったところも残しておこう。

 

・音楽はすごくいい。特に「This is Me」は良い。この音楽を最大限活かす脚本にすべきだった。

・サーカスのシーンは迫力がある。

・バーナムの娘2人がかわいい。だが、作中それなりに時が流れているはずなのに娘達の容姿が成長しないのが気になる。

・いつの間にかサーカスに参加していた象達がかわいい。火事にあってもサーカスを見捨てないとてもいい子達である。CGかもしれないが。

 

というわけでレンタルDVDで観るのをおすすめします。もちろん見なくても可。ララランドを観直すか、レ・ミゼラブルを観るほうがミュージカル映画を楽しめるでしょう。