続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

四季 冬 森博嗣

四季 冬 (講談社文庫)

四季 冬 (講談社文庫)

真理は、塵のように、見えなかった。
しかしらそれはどこにでもある。
それを見ようとするものは、
いつでも、それを、捉えるだろう。
いつでも、それを手に掴むだろう。

四季シリーズ最終作。今まで断片的に辿ってきた天才、真賀田四季の物語が加速度的に集約する。
かつて機械のように見えた天才も、その内側にまさに人間としかいいようのない部分を隠していた。天才は、現実の矛盾を紐解くのではなく、その矛盾さえも内側に取り込んで、自らの世界を広げて行く。その純粋な思考は、僕たち以上に人間的だ。