続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

かもめのジョナサン

かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

彼らの一羽一羽にとって、生活の中で最も重要なことは、自分の一番やってみたいことを追求し、その完成の域に達することだ。


 食うことよりも、寝ることよりも、飛ぶことが大好きな変わり者のカモメ・ジョナサンのお話。手塚治虫ブラックジャックにちょこちょこでてくるので読んでみたかった。


 内容は3部構成で、少しずつジョナサンが高みへ登るところが描かれる。これを通して「人が学ぶ」とはどういうことかを表している。人をカモメに変換することで、人間社会のややこしさを抑え、「学ぶ」ということだけに焦点を合わせているためシンプルでわかりやすい。「人が学ぶ」とはどういうことか。その原点に立ち返ることができる一冊だと思う。ただ、この本に示されているのはあくまで1例であり、本当の答えであるとは思わない。しかし、自分なりの答えを探すきっかけをこの本が与えてくれるのは間違いないと思う。


 余談だが中〜後半に宗教の啓蒙活動みたいな表現がたびたびでてくる。正直、ちょっとうさんくさい宗教臭みたいなものが作品中に漂ってくる。たぶん作者はそんな「宗教臭」をこの作品にまとわせる意図でそんな表現をしているのではないと思うし、必要性も感じられない。宗教臭を感じるのは読み手であるぼくの感性の問題なのだろう。