続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

アリー/スター誕生 ブラッドリー・クーパー

レディ・ガガが主演を務めたことで話題の映画。ショーパブでたまに歌うことが生きがいのアリーは、ある日大物シンガーのジャックにその歌唱力を見出される。半ば強引にジャックのライブに引きずり出されたアリーに全米が注目し、彼女は瞬く間にスターダムを駆け上がっていく。一方、落ち目となったジャックは、酒に麻薬に溺れていく。ショービジネスの光と影のなかで2人の運命は如何に。

ただの成り上がり物語かと思っていたがそんな事はない。ストーリーは実に深く、ショービジネスの光と影を切り取り、そして「スターとはなんぞや?」という問いかけを我々に投げかける。

主演2人の演技もすばらしい。ちょっとした目線や仕草がキャラクターをよく表している。終盤のジャックの表情の鬼気迫る感じには震えた。

結局、スターとはその人間性が卓越した人物のことを指すべきなのであろう。その人徳に多くの人が惹きつけられるのだ。アリーはその作詞・作曲センスと歌声で世に出た。それが彼女の人間性を世に伝える最高の武器だった。しかし、彼女は大物プロデューサーの意向により、ダンスだ、衣装だ、イメージ戦略だとショービジネスの世界に翻弄されていく。彼女の真の才能を知るジャックはそのことに蝕まれていく。アリーをこの世界に引き込んだのは他ならぬジャックなのだ。

ラストシーン。アリーはシンプルに歌い上げる。その瞬間、本当のスターが誕生したのだ。