続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ピエロがお前を嘲笑う バラン・ボー・オダー

影の薄い少年ベンヤミン、彼はコンピュータに精通し、ひょんなことからハッカー集団CLAYの一因となる。裏の世界で名前を上げていくCLAY。しかし、その進撃は長くは続かないかった。

映画はベンヤミンの出頭に始まり、彼がこれまでの経緯を話すことで進んでいく。最初は遊びのような感覚で始めたハッキング。いつしか事はだんだんと大きくなり、遂にはCLAYは破局を迎える。

印象的なのは、ダークネットと呼ばれるアングラなチャットでハッカー達がコミュニケーションしているシーン。狭い電車の車両の中で、仮面をつけたハッカー達が会話している。インターネットに存在する独特の世界観をうまく表せているのではないだろうか。顔が見えず公平なようでいて、なんとなく序列のある不思議な空間ができている。

ハッカー映画なので、コンピュータ上での戦いを想像するところだが、本作にはアクションシーンも盛りだくさん。なるほどハッキングというのはただコンピュータに強ければできるというものではないようだ。端末を探し、ネットワークを構築し、情報を奪い合う。意外と肉体派なところもあるのだ。現実にそうなのかは知らないけれど。

ラスト20分ほどは熱い展開が続く。しっかりとストーリを固めて練られた脚本に、ドイツ人の気質を感じる映画だ。ドイツ版、デスノートといったところだろうか。見応え十分な一作だった。