続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

JOJO'S BIZZARE ADVENTURE OVER HEAVEN 西尾維新

「ディオ。何があっても気高く、誇り高く生きるによ。そうすればきっと、天国に行けるわ」(ディオの母)

集英社の企画で何作か続けざまに作られたジョジョのノベライズ本の1つ。

DIOの日記という形で、DIOから見た第三部が描かれる。承太郎が戦いにのちに燃やしたとされる、あの日記だ。最初は毛ほども気にしていなかったジョースターの末裔が、ジワジワと我が身に迫ってくる。DIOも「覚悟」を決めて戦いに臨む。

日記には現在のDIOの心境が描かれるだけではない。DIOが見出した「天国に行く方法」が語られる。その方法を「親愛なる友」に伝えるための日記でもあるのだ。加えて、DIOの過去についても語られる。その生い立ちを振り返り、DIOは何を思うのか。

本作はDIOから見たジョジョ第三部である。加えて、DIOの過去、現在、未来を描く物語でもある。これが成立するあたり、ジョジョは「ジョースター家の物語」だけではなく「DIOの物語」であると認めざるを得ない。いや、「ジョースター家とDIOの因縁」こそがジョジョ1-6部に貫かれる1つのテーマだった。それをよく反映したノベライズである。

作中には原作のDIOの発言などがちょくちょく引用される。これらを組み込みながら、違和感なく物語を成立させているあたり、著者のジョジョ好きが見て取れる。ジョジョファンなら十分に楽しめる1冊さろう。荒木飛呂彦による、イラスト挿絵もジョジョファンなら無視できないところだ。