続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ブレードランナー2049 リドリー・スコット

ブレードランナーは子供の頃に金曜ロードショウか何かで観ただろうか。でもよく覚えてなかったので、この2049を観る前にTSUTAYAで借りて観た。今まで観なかったことを後悔するわけだが、それはまた別の機会に書くとしよう。

この2049は「ブレードランナー」の続編になる。前作同様リドリー・スコット監督がメガホンをとり、デストピア的SFが描かれる。まさか30年以上も感覚を開けて続編が作られると、当時の映画ファンは思ってもみなかっただろう。

映像は進化しつつも落ち着いた感じ。30年前のイメージが今も通用するあたりに当時の監督のキレッキレ具合がわかる。ちょっとエロとグロに走りがちな気がするが、その辺はエイリアンなんかを撮ってきた影響だろうか。

前作も世界観にヨーロッパの漫画アート・バンドデシネの影響が大きいようだが、本作にもその感じは強い。止め絵にしてもアートとして成立しそうなシーンがちょくちょく出てくる。アートのような背景に、登場人物が迷い込むように存在するのはおもしろい。ただ、衣装のセンスは前作止まりか、あまり進化した感じはなかった。時代設定が30年も経ってるから女の子の服装なんてもっと変わりそうだけど。いや、一周まわって戻ってると考えるべきか。

前作のラストがラストなだけに、ストーリー作りはかなり大変だと思うが、個人的にはいいと思う。多くのファンの期待に答えられるんじゃないだろうか。逆に、前作を観ていないとストーリーがよくわからないことになる。時折挟まれる印象的なシーンも「?」になってしまうだろう。

そして70を過ぎたハリソン・フォードの名演が光る。絶妙な演技で、ラストシーンなんて最高だった。ただ監督、70過ぎにはきついシーンが多くないですかね?受けるハリソンもハリソンだけど。

印象に残ったのは、デッカード警部がコンサートホールで、エルビスのCan't help falling loveをバックに戦うシーン。途切れ途切れのBGMが切ない。そして最後に「この曲が好きなんだ」という台詞を吐く。なんとも、悲しいラブストーリーである。