- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2012/07/21
- メディア: 単行本
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『犬とはつまり、機嫌のいい生き物である』(著者)
小川洋子さんは物語の人である。このエッセイからもそれを強く感じた。
著者は多くの物語を読み、深く感じ入っている。エッセイの端々にそれらの物語が引用される。
同時に磨き抜かれた観察眼で、著者は自分の人生や身の回りのあれこれにも物語を見出していく。淡々と、気持ちよく描かれる物語は実に優しい。現実のトゲをオブラートに包み込む。
生きるには物語が必要だ。あまりにも現実は苦いから、オブラートなしでは飲み込めない。優しい優しい一冊であった。