続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

日本ぶらりぶらり 山下清

日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)

日本ぶらりぶらり (ちくま文庫)

『世のなかのことは、ぼくにはよくわからないのです』(著者)

山下清が本を出しているとは知らなかった。もちろん出版向けの修正が多々入ってはいるのだろうが、著者の思考のエッセンスを感じ取ることができる。

観察力に溢れるシンプルな文章だ。事実を並べ立て、感想を述べる。簡単そうで書いてみると難しい。ついつい、尾ひれを付け加えて行きたくなるのが人情だ。

アゴタ・クリストフ悪童日記に似ているなと思った。ただし、戦争という背景で描かれた悪童日記とは違い。戦後ということもあって、明るく前向きな姿勢が見える。小説と日記を比べるのもナンセンスかもしれないが。