スープをこぼしたおじいさんが台所で悪態をついている。
さらりと読める、ファンタジーのような純愛の物語。
主人公ジュゼッペはトリツカレ男。オペラ、三段跳び、探偵ごっこ。様々なものに『トリツカレ』てはその道を探求してしまう、どうしやようもない性の持ち主だ。そんな彼の前に現れた女の子ペチカ。ジュゼッペはペチカに見事にトリツカレてしまう。
ありがちなストーリーではあるのだが、要点が抽出されている。サラリと読めて、それでいて深みのある文章だ。
だらだら書けばいいというものではない。洗練こそが読み手に感銘を与えるのだと実感した一冊だった。