続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

トリツカレ男 いしいしんじ

 

トリツカレ男 (新潮文庫)

トリツカレ男 (新潮文庫)

 

 

スープをこぼしたおじいさんが台所で悪態をついている。

 
さらりと読める、ファンタジーのような純愛の物語。
 
主人公ジュゼッペはトリツカレ男。オペラ、三段跳び、探偵ごっこ。様々なものに『トリツカレ』てはその道を探求してしまう、どうしやようもない性の持ち主だ。そんな彼の前に現れた女の子ペチカ。ジュゼッペはペチカに見事にトリツカレてしまう。
 
ありがちなストーリーではあるのだが、要点が抽出されている。サラリと読めて、それでいて深みのある文章だ。
 
だらだら書けばいいというものではない。洗練こそが読み手に感銘を与えるのだと実感した一冊だった。