続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか

 

 

司令官がイカレて冷戦が勃発しそうになったらどうなるかというブラックコメディ映画。米軍にソ連基地に対する爆撃命令が出されてから、ソ連基地への爆撃までおよそ30分ほど。この作品はその30分ほどの短い時間を中心に群像劇が描かれる。

 

邦題がちょっと残念だ。現代は「Dr.Strangelove」である。「博士の異常な愛情」ではなく、これは人名なのだ。そして、タイトルにもなっているStrangelove博士は意外と本編で出番が少ない。最もインパクトはかなりのものだが。

 

この映画でキューブリック監督は何が描きたかったのだろうか?ぼくは「戦争も人の活動である」ということではないかと思う。戦争という言葉だけ聞くと、本の記載だけをみると、どうしても人間味が抜け落ちる。でも、実際にに戦争をしているのは人間なのだ。みなその悲惨な結果から、ついつい眼を背けがちだが、戦争も人間の活動の結果である。そこに疑いの余地はないだろう。この映画は「眼を背けるな」という監督のメッセージなのかもしれない。

 

余談だがストレンジラブ博士役のピーター・セラーズは、なんと一人3役の出いぇんである。しかも、いずれも物語上かなり重要な役である。ぼんやり観ているときは全然気が付かなかった。これぞ役者の力だろう。