南極料理人
「やりたい仕事が、ここでしか出来ないだけなんだけどなあ」(モトさん)
西村淳原作のエッセイを映画化したもの。第38次南極調査隊の日常を描く。男ばかりの8人組。基地は他の基地から遠く離れた南極の孤島・ドームふじ基地。極寒の寒さでは細菌もウイルスも生息しいない。ついでにペンギンもアザラシもいない。加えて富士山よりも高い標高では、お湯も85℃で沸騰してしまう。過酷極まる環境での日々が始まる。
映画の中では、まるで男子寮のような、男どもの馬鹿馬鹿しい生活が描かれる。その一方、逃げ場のない孤独のなかで少しづつ個人の日常が侵されいく。平穏な日常の中で描かれるほんの少しのホラーがとてもピリピリしておもしろい感覚だ。
人間は知恵と技術で、どんなところにでも日常を築くことができるようだ。そして、それが人間の一番の能力なのかもしれない。そうやって、人間は日常をどんどん拡大して生きてきたのだろう。フロンティアの生活。そんなものを垣間見た映画であった。