続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

巷説百物語

巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)

「御行奉為−」(小股潜りの又一)

「後〜」に続いて(順序は逆だが)第一作目も読んでみました。

江戸時代、裏の世界の住人たちが、あちらを立てればこちらが立たず、どうにも行き詰まった世の中を巧みな仕掛けで丸く収める・・・。

妖怪話を利用した巧みな仕掛けと、それを操る小悪党たちが実にかっこいい。事件の裏にある人の醜さ、世の儚さを誰よりもよく知りながら、それでも彼らは絶望せしない。もはや表の世界ではどうにもならない行き詰まりを、裏の世界のやり方で解決する。妖怪ものなので話自体は暗いですが、最後に描かれるのは「希望」。彼らの仕掛けこそ最後の希望なわけです。

読んだ後、世の中捨てたもんじゃないなぁ・・・と思える作品。きっと今も小悪党達が世界の裏にいると信じて・・・!