続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

健康格差 NHKスペシャル取材班

『寿命って自己責任ですか?』(帯より)

近年のベストセラーということで読んで見た。『健康』は近年の売れるキーワードといつまても過言ではないだろう。その世の中の気運を受けつつ、健康格差という世の中の問題に切り込みをいれる。本書はそういう本である。すなわち、この本は問題提起をしているのだ。それも日本社会の根幹に関わる問題提起である。

少子高齢化の進む今の日本社会では、医療介護費がバカにならない。老人が健康に、ピンピンコロリと死ねる世の中ではないのだ。それを若者が血反吐を吐いて支えなければ、今の日本はありえない。

老人がピンピンコロリと死ぬためには、若殿が社会の遺産を背負わないためには、健康寿命が大切である。そのためには何が必要なのか?

健康は個人の問題と考えられがちであった。しかし、実際にはそんなことははない。人は与えられた環境で生きるだけである。培養液の以上がその中の細胞を死滅させるように、人はその文化に殺されるのかもしれない。

文化は個人でコントロールできない。今こそ、社会が、政府が、健康を考え直すときである(いや、先進国ではすでになされつつあるじぎょうでる)。そのきっかけと、本書がなってほしいとぼくは思った。