続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky [森博嗣]

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

クレィドゥ・ザ・スカイ―Cradle the Sky (中公文庫)

飛ぶにも、生きるにも、軽いほうがいい

またシリーズものを途中から読んでしまった。一応このスカイ・クロラシリーズは1冊ごとに物語は完結しているようなのでどこから読んでもいいようなのだけれど。ただ、なんとなくこのシリーズは出版された順に読むべきではないかと感じている。作者の森さんが示してくれる情報が非常に断片的だからかもしれない。

しかし、そんなことを忘れるぐらいこの物語には引き込まれた。
自由を求め病院から逃げ出す主人公「僕」。薬のせいで朦朧とし、夢と現実の狭間を揺れるようにしながら、彼の逃走は続く。
永遠の命を生き、それでいて、大人とも子供ともいえない不思議な期間を生き続ける、キルドレという存在。そんな彼らが求める「自由」とは。断片的に示される人々(キルドレ同士?)の関係とは。彼らをとりまく人々の思惑とは。抽象的でありながら、どこか非常に科学的というか、理論的な感じがするのはやはり作者が工学博士であるからだろう。否が応でも想像力を刺激される。まさに現代のファンタジー。今後はちゃんと出版された順に読もうと思う。

あと、映画スカイ・クロラを手がけた押井守監督の解説が素晴らしいです。

自己実現を成し遂げた大人は、子供を演じられるほどに自由なのだと解釈すべきなのでしょう。自分もそういうものになりたい。

正直僕は「大人になんてなりたくない」みたいなとこがあったんだけれど、それは本当の大人というものを見たことがなかっただけなのかもしれません。この一文がぼくの人生を少し変えたことは間違いないと思うのです。