野生の思考 クロード・レヴィ=ストロース
私にとって「野生の思考」とは、野蛮人の思考でもなければ未開人類もしくは原始人類の思考でもない。ーーー著者
文化人類学者である著者が、長い年月をかけ非文明社会の現地調査を積み上げた結果到達した1つの結論。それが野生の思考である。哲学の世界に大きな波紋を起こし、構造主義ブームの発火点となった一冊。
いやー、むずかしい。フランス語の翻訳本なので当然日本語で書いてあるのだが、大半は何が書いてあるのかわからない。たぶん10%ぐらいしか内容を理解できなかった。この本を読む前に、もっと読むべき本がぼくにはあるのだろう。そんなに分厚い本ではないが、なんとか読破するのに3ヶ月もかかってしまった。
それでも、かつて「未開人」「野蛮人」とされたいわゆる先住民族に対し、著者が全く新しい視点を与えたことはわかる。西洋文明がより優れた最新の文明と考え、未開人の社会は遅れたものだとする見方は、西洋文明側の非常に驕ったものなのだ。先住民族の文明は決して非論理的でいい加減なものではなく、そこにはその社会がもつ詳細な自然観察と一般化された知の体系が存在している。それは決して遅れた文明などではなく。西洋文明とは異なる理をもつ、また別の文明ととらえるべきなのだろう。
たぶん、この著者無くして、現在の「SDGs」とか「多様性」という思想は生まれてこなかったであろう。偉大な一冊であることは感じ取れた。まずはそれで良しとしたい。