続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

スーサイド・ショップ

 

スーサイド・ショップ

スーサイド・ショップ

  • メディア: Prime Video
 

 ドンヨリとした街。行き交う人々はただ死ぬことばかり考えていた。自殺は法で禁止され、警察に違反切符を切られるのだ。それでも人々は死を願う。そんな街の路地裏に自殺道具専門店「スーサイド・ショップ」はあった。人々は死の安寧この店で買う。しかし、店のマダムに生まれたときから笑顔の子供・アランが生まれたことで街に転機が訪れる。

 

 フランスのアニメ映画。海外のアニメーション映画は動きがぎこちない。フランスの人には人間の動きがこんな風にみえるんだろうか。この辺、日本のアニメーション映画(ジブリとか)はすごいと思う。

 

 それはさておき、本作は負の空気に飲み込まれ自殺者が出まくる街での話。舞台はいかにもフランス風なのだが、フランスのような国にも自殺の波は押し寄せてきているのだろうか。映画のなかでは、自殺こそ人生からの開放と考える大人たちが死を選んでいく。主人公である自殺ショップの一家はその自殺を幇助していくポジションだ。それでも、この映画はハッピーエンドで終わる。自殺を否定し、生きることこそ人生の喜びだ、と。

 

 日本のような自殺大国に居る人間からみれば、この映画は薄っぺらいことこの上ない。その意味では日本こそこの分野の先進国ともいえるし、フランスはいずれ日本と同じ道を歩むのだろうか。それは誰にもわからない。ただ、この映画を観るにフランス人は日本人より圧倒的に幸せである。本当に死を選ぶほどの辛さを、たぶんこの映画の監督はわからない。おそらく自殺を図ったこともないだろう。

 

 ある意味、日本は(嫌な意味で)先進国だと感じることができる作品だった。この自殺問題に解決策を与えることができれば日本は一つのモデルとして地位を築けるのかもしれない。ぼくはそんなことを願ってはいないので全く嬉しくはないのだけれども。