続: ぼくの一時保存

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マネー・ショート 華麗なる大逆転

 

 

マネー・ショート華麗なる大逆転 (吹替版)

マネー・ショート華麗なる大逆転 (吹替版)

  • 発売日: 2016/06/22
  • メディア: Prime Video
 

 2008年。「リーマン・ショック」が起こった。少なくとも20代以上なら耳に残っているこの事件。アメリカの経済がひっくり返り、その余波で世界の経済は大パニックとなった。そんなリーマン・ショックに至る、いわゆるサブプライム・ローン問題を扱ったこの作品。この問題の背景にはアメリカ経済の基盤の歪みがあった。歪みは経済バブルを生み出し、そして世間は気づいていなかった。その歪みがどれほど大きくなっているのか。しかし、世間には気づきつつある人間がいた。本作の主人公はそういった人間たちである。世間からイカれていると揶揄されながら、彼らは行動を開始する。世界は、まだ何も気づいていない・・・。

 

 いやー、おもしろかった。もっと早く見ればよかった。リーマン・ショックの背景、サブプライム・ローンについても非常にわかりやすく説明してくれる。もちろん、この映画を見た程度で問題の本質を理解できるわけではないが。

 

 

 結局、制度の不備もありサブプライム・ローンは弱者を食い物にするシステムとなってしまった。しかしやりすぎたのだ。弱者を食い物にしすぎれば、最終的にシステムそのものが破綻してしまう。弱者も強者も、皆もろともに崩壊してしまう。

 

 好景気という雰囲気が米国全体を阿呆にしていた。だれも制度の抱える大きすぎる問題に気づかなかったのだ。この映画の主人公達を除いては。

 

 主人公たちは気づいてしまった。サブプライム・ローンが抱えるとんでもない問題に。このシステムはいずれ破綻する時限爆弾だったのだ。同時にそれはむき出しの資本主義でもあった。資本主義はマルクスがいうように化物なのだ。手綱なしでは全てを食らい付くしてしまう。主人公たちはさまざまな思惑を抱えつつ、資本主義の暴走に賭けたのであった。それは、資本主義を完全に支配できていると錯覚していた当時の人々からしてみればクレイジーの一言であった。

 

 という感じで、非常に楽しめて、また勉強になる映画だった。「投資家」という我々庶民からは遠い人々の存在。如何に現代社会が脆い存在であるか。社会人であるならこの映画をみて損はない。そういう意味では万人におすすめできる映画である。

 

 ところで、上の画像の右端の人はなんとブラピである。こんなキャラもできるのかとびっくりした。ファイト・クラブに象徴されるキレッキレのキャラクターから、このおっさん。しかも世の中に絶望して世捨て人のように生きている。この振れ幅。さすが一流である。