続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

幽談 京極夏彦

 

幽談 「 」談 (角川文庫)

幽談 「 」談 (角川文庫)

 

 こわい。

怖いものとはなんだろう。

 

京極夏彦の短編集。あるのかないのか、うそかまことか。幽き8つの物語。

 

京極夏彦お得意の幻惑的なお話で構成された短編集。この人はもっと短編書いたほうが魅力が伝わるように思う。レンガ本は読書に馴染みがない人には少々しんどいのだ。

 

個人的には最後に収録されている「こわいもの」が良かった。見えそうで視えない。だからこそ人は想像力を働かせ、そこに無いものを見るのだろう。認知と想像のズレとでもいうのだろうか。京極作品の本質はそこにあるように思う。あるいは、妖怪譚というものは、そこから生まれるものなのかもしれない。

 

京極作品を気軽に楽しんでみたい人におすすめの1冊。これが気に入ったなら、是非百物語シリーズ京極堂シリーズもどうぞ。レンガのように分厚いですが、より楽しいことは間違いなし。