続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

田園に死す

 

田園に死す

田園に死す

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 寺山修司監督の映画。映画監督の主人公は若き日を顧みた自伝的映画を作製していた。東北の田舎で母と二人暮らし。母の庇護を一身に受ける一方で束縛された青春。ついに中1の彼は母が寝静まった夜更けに駆け落ちして東京を目指す・・・。しかし、これらは美化された物語であった。ほんとうの過去では母にみつかり大乱闘の末に逃走。駆け落ち相手には恋人が居た。奇人だらけのサーカス団の思い出とともに、現在の私は過去の私と対話する。今の私は、母を殺すことが必要だと考えるが・・・。

 

 えーと、ジャンルとかはよくわからない。強いて言うなら幻想映画か。強烈な破壊力のシーンがつなぎ合わされ、観るものの心を揺さぶる。非常に感覚的でパワフルな映画だ。現代社会ではこんな企画は通らないだろう。しかし、この映画には現代の映画にはないパワーがある。断片的だが強烈な情報が視覚と聴覚からなだれ込んでくる。否が応でも頭脳が刺激され、想像力が働いてしまう。畏まっておとなしくストーリーを説明してくれる現代の映画は観客を堕落させてしまうのではないだろうか。

 

 個人的にはエヴァンゲリオンによくに似た作りの映画であると感じた。細かい説明はしない。しかし、画面の、台詞の端々から断片的な情報をつなぎ合わせることで膨大な情報が語られる。それだけだと観客にはしんどいが、最高にかっこいい、ビビッドなシーンの連続が観客を映画に惹きつけてしまう。監督に自信がないと作れない、ドンと構えた映画である。