続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

独裁者

 

独裁者(字幕版)

独裁者(字幕版)

  • 発売日: 2020/05/21
  • メディア: Prime Video
 

 

 第一次世界大戦のさなか、トメニア軍のチャーリーは飛行機で戦場から脱出する。しかし飛行機の墜落でチャーリー記憶を失ってしまった。それから10年以上の時が流れ、チャーリーは曖昧な記憶のまま自分の散髪屋へ戻ってくる。彼はユダヤ人であり、そして時代はトメニア政府によるユダヤ人迫害の時代となっていた。トメニアはチャーリーそっくりな総帥・ヒンケル率いる独裁国家となっていたのだ。隣国オーストリッチへの進行をきっかけに、数奇な運命が交錯する。

 

 観たことなくてもほとんどの人が知っている映画。公開は1940年。第二次世界大戦の真っ只中に公開されたことを思うとその凄さがよくわかる。ヒトラーがドイツでバリバリに独裁政権を奮っている時にこの映画を作ったのだ。ここに西洋文化の「コメディ」の力を感じる。

 

 コメディの1つの力は批判精神や風刺だ。暴走する権力に物申すのだ。ただしそれは所詮笑い話の中で。権力者はそんなものにいちち反応してはそれこそ笑いものになる。笑いの隠れ蓑で身を守り、痛烈に批判をすることができる。中世ヨーロッパの王様のそばには道化師がいた。貴重なブレーキ役だったのだ。

 

 ラスト。チャーリーが自由・平等・民主主義を訴える。いま、ぼくにはこの演説がガツン響いた。もしかしたら、あなたの心にも響くのかもしれない。多くの人の心にこの演説は響くだろうか?もしそうであれば、今の時代が心配になる。この映画が喜劇以上のものにならない、そんな時代が続くことを願っている。