続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

怖い絵 死と乙女篇

 

怖い絵  死と乙女篇 (角川文庫)

怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)

 

 

名画を紐解き、そこに描かれた恐ろしい世界を読み解く一冊。

 

絵なんてよくわからないという人にも是非読んで欲しい。大変面白い本なのだ。

 

西洋の絵画はもともと読み解くものであった。そのためには様々な知識が必要だし、それができることが貴族たちのステータスでもあったのだ。とはいえ、日本人には絵画を読み解くという感覚は分かりづらい。東洋の絵はもっと単純に楽しむためのものだ。

 

だがこの本を読めば、その絵画を読み解くという感覚が少しわかる。時代背景、描かれたモチーフの解釈、実際の出来事、神話のお話、あらゆる知識を総動員することで、絵の中に隠れた物語が見えてくる。それを体験できる一冊なのだ。

 

少々、強引な解釈もあるような気がするが、その強引さがまた良い。それぐらいの方が素人目には面白い。別に学術的な話をしようというのではない。絵を楽しんで見たいだけなのだ。世の美術館もこの本のような目線で展示を行えば、もっとお客が集まるんじゃないだろうか。