脂肪の塊 モーパッサン
普仏戦争下のフランス。数組の旅人が馬車で街を脱出した。その中には高級娼婦ブール・ド・シェイフ(脂肪の塊)もいる。旅の仲間は良好な関係を築いていたが、途中の街でドイツ士官に足止めを食わされてしまう。どうやら、士官はシェイフと寝たいがために一行の邪魔をしているのだ。最初は士官の下衆な考えに怒りを覚える一行だが、次第にその怒りの矛先は士官と寝ようとしないシェイフに向かい始める。
人間のエゴなところを痛烈に描いた作品。短編だがその切れ味は最高だ。
旅の一行には立派な紳士もいれば、教会に身を置くシスターだっているのだ。そして皆、それが悪いことだともわかっている。それでも、自らのために、そして集団の力を借りて、流れ落ちるように行動を起こしてしまう。
人間は善くも悪くもなり得る。だからこそ善き人であろうと勤めることが大事なのだろう。