一切なりゆき 〜樹木希林のことば〜 樹木希林
あんまり詳しく知らないのだけれど、樹木希林さんは亡くなって急に人気が出たように思われる。やたらと樹木希林本が出版されたからだろうか。
そんな数ある樹木希林本の一冊。彼女の発言や文章などを、出版されたもののなかから印象的なものを集めて編纂したもの。なんとなく、その人となりを知ることができるだろうか。いや、ことばの断片を追っても人のことはわからないとも思うが、それでも断片を知ることができる。
さて、読了後に感じた樹木希林さんの印象は、人生をしっかり満喫するという生き方をする人だった。
後悔することや、失敗もあるけれど、それでも目一杯まで人生を楽しみ、膨らませ、そうして1日を生きていく。捨てるものは捨て、人に渡すものは渡し、良いことも悪いことも何も残さない。そんな生き方は、とても難しい。ただ生きているだけで、背負いたくもないものまで背負うことになってしまう世の中だ。
立川談志は「人生、成り行き」と説いた。よく似たことばがこの本のタイトルにもなっている。
人間だって動物だ。動物には遠い未来を予測したり、複雑な問題を抱えて生きてはいない。単純なのだ。与えられた環境で今すべきことをして生きている。人間も、そんな風に生きてもいいんじゃなかろうか。