続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

フォード vs フェラーリ

 

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

フォードvsフェラーリ (オリジナル・サウンドトラック)

  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

かつてル・マン24時間耐久レースで優勝したアメリカ人・シェルビーはその後心臓病で現役を退くも、モータースポーツへの情熱を温め続けていた。その頃、フォード社は経営不振から社のイメージ刷新のためモータースポーツの世界へ乗り込むことを決意する。当時のモータースポーツの最高峰・フェラーリとの経営統合を図ろうとするも、それはフェラーリフィアットに自身を高く売り込むための作戦だった。因縁に燃えるフォード社は自前でフェラーリを打ち負かすことを決意する。白羽の矢はシェルビーへ。そして、偏屈だが最高のドライバーである・ケン・マイルズへ。2人は最高の車の開発を目指す。一方、すでに大企業となっていたフォードの内外では、不穏な動きがおきていく。

 

車に全然興味がないぼくでも十分楽しめた。実話に多少の脚色が入ってるらしいので、車好きだとそのへんも楽しめるのかもしれない。いい映画だと思う。しびれるレースシーンは当然ながら、複雑な人間模様、ウィットに富んだやりとり、2時間半の時間を感じさせず、むしろよく詰め込んだと思わせるほどだ。

 

個人的にはシェルビーが何が何でもマイルズをレースに出場させようと、社長であるヘンリー・フォード2世を説得するシーンがいい。まず、敵対する会社の重役をサラリと部屋に閉じ込める。社長を最高のマシンに乗せ、ぶっちぎりの性能をシェルビー自身が見せつける。最高にかっこいいのはここで社長が「私はこんなの思いつきもしなかった。親父を乗せてあげたかった」と最高の賛辞をのべるのだ。すでにマイルズをドライバーから除外する人事をしているにも関わらず。そしてシェルビーの「次のレースでマイルズが優勝したらル・マンに出せ。優勝しなかったら俺の会社をくれてやる」である。しびれる展開だ(たぶん”脚色”なんだろうけど)。

 

あと、アイアコッカという幹部がフォード社の調整役として絶妙な立ち回りをみせる。序盤でシェルビーに「みんなが最高の力を発揮できるようにするのが私の仕事だ」みたいなことを言っていたが、まさに有言実行だった。こういう人こそ本物だと、個人的には思うところがあったりして感慨深い。

 

劇中の時間はそう長くないと思う(5−10年ぐらい?)なんだけど、その間の車の進化が劇的でびっくりする。あと女性のファッションも。ついでに、よくわかんないけどたぶんエンジン音とかにすごいこだわりがあるように思う。車ごとにたぶんそれぞれ音を録音したんじゃなかろうか。なんか違うような気がする。この辺はそれぞれマニア向けという感じで、楽しめる人もいるのだろう。ライト層からディープ層までいろんな見方ができる映画になっているようだ。