続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

メトロポリス

 

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「私は・・・誰?」

 

もう20年近く前のアニメ映画。時々見たくなって、もう何回見たのかわからないけど、いつ見てもすげえなと思わされる。個人的にはアニメ映画の傑作。

 

原作の設定をしっかり残しつつ、現代的で深いストーリーに仕上がっている。絵は緻密でアニメはヌルヌル動く。ものすごい手間がかかっている。

 

キャラクターがちゃんと演技をしているのがいい。微妙な視線の走らせ方や、ちょっとした仕草にキャラクターの性格や気持ちが反映される。その小さな演技の積み重ねで、キャラクターは本当に未来の大都市で生活しているように思えるし、逆に未来の大都市の姿が描かれなくても見えてくる。

 

ラストシーン。レイ・チャールズの「I can't stop loving you」が流れる瞬間は映画の世界に引き込まれる。この映画の物語を動かすのは人間の愛の力だ。それぞれの愛が交錯し、物語はこのラストシーンに至るのだ。この曲が流れる瞬間、「ああ、そうだったのか」と映画の心が震える。ホントに無駄のない、完成度の高い、いい映画なのである。