続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

どうもぼくはまだこの本を読むには若すぎるのか。非常にイライラしながら読むことになった。

東京に一人暮らすおばあちゃん・桃子さん。独立した子供とは疎遠になり、夫には先立たれ、一人孤独に生きる。ただただ内省を繰り返す日常を、生まれた東北の言葉で綴る。

老人で溢れる国である日本には、実際にこのような老人がいっぱいいるのだろう。桃子さんを知ることは、今の日本の国の一側面を知ることだ。今という時代を反映した文学として価値ある作品であることは理解できる。

しかし、どうにも読むのが辛い。まず東北弁が理解できない。唯一の登場人物である桃子さんの思考が読めない。ひたすらに内省し続ける桃子さんのキャラクターもあってまったく共感できない。ただただイライラする。読み物としては絶望的に辛い。

ただ、今の日本が抱える問題である「孤独な老人」というものを身近に感じられるのはいいことだ。あと失われいく言葉である東北弁を残すということも大事だろう。だから価値ある作品であることはわかる。

でも、どうしてもイライラしてしまう。これに怒る人もいるかもしれないが、ぼくはそういう性質なのだろう。改めるべきことかもしれないが、一朝一夕で変えれるとは思えない。せめて自分の性質に気づいただけでもまだましか。この本はその意味で心を写す鏡なのかもしれない。