続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

ゲットアウト ジョーダン・ピール

ある週末、主人公の黒人クリスは白人の彼女ローズの実家へ2人で移動していた。道中、小さなトラブルはあったが無事ローズの実家へ。そして、たまたまこの週末が親族の集まるパーティだと聞かされる。親戚付き合いが大切なのは米国も同じ。パーティでクリスは今なお残る黒人差別を、白人の親族たちの言葉の端から感じ取る。さらに、ローズの実家には奇妙な黒人の名刺使いたちがいた。ストレスを募らせるクリス。果たしてこの家には何があるのだろうか。

一風変わったホラー映画。お化けや化け物が堂々と人を襲うのではなく、人の心の中にこそ恐ろしいものがある。つまり、その意味でジャパニーズホラーのテイストが入っているといえる。

本作は是非2回見てほしい。初回では「?」となるシーンの数々が、2周目にはスッキリ納得できるはずだ。脚本は非常にロジカルに組まれている。この映画を監督したピール監督は元コメディアンらしい。笑いはロジックでできている。それは「緊張と緩和」という方法論に基づく。そしてこのメソッドはホラー映画の文脈にも通じるところがある。人の心を揺さぶる良作である。

もう一つ。日本人に馴染みはないが、なんだかんだで黒人差別は未だにある。その点を子に作品は実に鋭く抉っている。その鋭さを是非感じ取ってほしい。