続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

赤ひげ診療譚 山本周五郎

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

保本登は医師である。長崎での遊学を終え、帰ってきた彼は御典医を目指すつもりだったが親戚筋の計らいで小石川療生所の見習いとなる。小汚く、貧乏な施設。所長の赤ひげとの確執。しかし、保本は少しずつ赤ひげから学んでいく。

黒澤明監督の映画の原作。短編の形をとって、テンポよくお話が進む。

赤ひげを始め登場人物はみな苦境に立たされている。自分の力の不足。世の中の理不尽。貧乏。差別。無知。どう戦ってもどうにもならない。それでも、自分たちに出来ることをやっていく。生きることをまざまざと描いた作品を見てだと感じた。