続: ぼくの一時保存

主に読書ブログ。たまに頭からはみ出したものをメモ。

オタクの迷い道 岡田斗司夫

 

オタクの迷い道 (文春文庫)

オタクの迷い道 (文春文庫)

 

 「ネットというものは差異がどんどんなくなる社会で、だからこそ差異こそが最も価値を生み出すんですよ」(著者)

 

OTAKU文化って、ここ10年ぐらいで広く認知されて、今では1つの趣味趣向として確立されたものだと思っていた。しかし、どうも違うらしい。この本には2000年前後のオタクの動向が記録されている。オタクはもっと根深く、そして「濃い」存在であることがおの一冊から十分すぎるほどに伝わってくる。

 

近年の「オタク」はどうやらファッションオタクとでもいうべきもののようだ。「OTAKU」とは「調べ尽くしたい。語り尽くしたい」というある種病的なまでの心の病(笑)である。アニメが好き、とか二次元に行きたい、みたいな薄っぺらい感情ではないのだ。

 

とはいえ、社会情勢は大きく変化し、オタク事情もかわっていく。これはある意味文化人類学的現象なのかもしれない。オタキング岡田斗司夫はその中心を駆け巡り、記録を残す存在である。50年後、100年後、1000年後には、この本が日本文化人類学の引用文献となるのかもしれない。それまで人類が存続し続ければの話だが。